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四十路の英語奮闘記 その四

『その三』(2017.02.24)では、大量の英語音声を入手できたことについて書きました。自宅や車の中で涙ぐましいぐらい、それらを何度も繰り返し聴いて耳に馴染ませる努力をしました。

門前の小僧なんとやらで、半年ほど経つと徐々に、本当に徐々に、以前よりも聴覚でとらえられるようになってきました。

しかしそうなると、聞き取りにくい発音があることに気付くようにもなりました。
特に[ f ]の音がどうしても聞き取れず、「 if 」などの語は、文中にあるはずなのにほとんど感知することができません。

そこで、発音について調べることにしました。

私の持っている電子辞書には発音に関しての詳しい解説が載っていないため、「こういう時こそ紙の辞書!」と、電子モノよりも紙の媒体に親しみを感じるOld manの喜びを噛みしめながら、高校以来の付き合いである『シニア英和辞典』(旺文社:1981年)を引っぱり出しました。付録の「発音解説」ページを開くと、懐かしい顎や舌の断面図が現れます。

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お目当ての[ f ]の欄には、「上歯で下唇を軽くかんで、この間から息を出して発音する。息の代わりに声を出せば[ v ]となる」とあります。「そうそう、確かにこうだった」と、古い記憶との合致に納得しつつ、その通りに数回発音してみました。

ついでと思い、他の欄に目を移してみました。すると[ l ]の欄で、納得いかない事態が発生しました。
そこには、こう書いてあったのです。「舌の先を上歯ぐきの後ろにぴったりつけて、声を舌の両側から出して発音する。これは日本語にない音であるから特に注意して発音すること。とにかく舌先から声を絶対に出さないこと」

それまで考えたこともない[ l ]の発音法でした。「 long 」や「 sale 」などは皆こんなにややこしい発音を要求される語だっただろうかと、かつて学びの場で培ったはずの"常識"に対する自信が揺らいでいくのを感じました。

不安に駆られ、別な欄に目を移すと、[ d ]の場合はこうでした。「舌先を上の歯ぐきにつけ、声を出すと同時に舌をはなす。これは破裂音で強く発音する。声の代わりに息を出せば[ t ]となる」

[ d ]はまだしも、[ t ]が[ p ]などと同じ破裂音、すなわち弾くような感じで発音する音だったとは存じませんでした。これにもずいぶんと驚かされました。

また[ m ]については、「唇をかたく閉じ、声を鼻へ送って発音する。声が鼻から完全に抜けるまでのばす。[ m ]が語の終わりに来たときは唇を閉じたままにしておく」などとあり、これまた「知らないぞ!」と自分の無知を棚に上げて、やりきれない憤りを覚えたものです。

私は辞書を裏返し、透明なビニールカバーに覆われた表紙をしげしげと見つめました。

間違いなく、遠い昔大変お世話になり、青春の日の思い出としてその後もずっと本棚で保管してきた自分の辞書です。高校時代、一番好きな科目が英語だったこともあり、当時の在校生の中では最も利用頻度が高かったであろうとの自負もあります。その発音解説のページも、現役時代にいく度も目を通したはずです。なのにこの[ l ]や[ t ]、[ m ]、そのほか数種の発音に関しては、全く記憶がありませんでした。

考えてみると、いくら好きな科目とはいえ当時の私にとっては受験対策の一つに過ぎず、試験に出てこないこれらのことは「不必要なこと」として、習得の対象外としていたようです。

最近、何校かの高等学校の『○○年史』制作にかかわらせてもらいましたが、近年の学校現場における英語教育の充実ぶりは本当に目を見張るものがあります。ことに「話せる英語」「使える英語」に重点が置かれているようで、こういった発音についても、きっとしっかりと指導されているんだろうなと思うと、非常にうらやましく感じます。

時代の変化に嫉妬しているだけでは何も始まらないので、私は気持ちを入れ替え、解説に従ってそれぞれの発音練習に取り掛かりました。
アメリカ映画のDVDなどでネイティヴさんたちの口の形や動きを真似することなどにも挑戦してみました。

数カ月ののち、自分なりに発音の仕組みが体の感覚としていくらか理解できたためか、聞き取りづらかった音のいくつかは、わずかながら耳に残るようになりました。
お陰でリスニングの楽しさは倍増し、次のステージを目指して、四十路男の英語奮闘は終わりなきチャレンジに邁進するのでありました。

To be continued...      
編集S

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| 2017.04.21 | 趣味 | comment(0) | trackback(0) |
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