基本仕様の決定
年史の掲載項目例
年史・記念誌には、
一般的に以下のような項目が掲載されます。
必要に応じて盛り込む要素を決定します。
前付け
- 口絵
- 現在の建物外観などイメージ写真・商品・業務風景・古い写真などで構成します。
- 代表者のあいさつ
- 発刊の趣旨や関係者への謝辞、今後の展望を述べるのが一般的です。
- 祝辞
- 関係者(団体)などに依頼して掲載します。
- 目次、凡例
- 章・節・項・目に分かれたタイトルと、ページ番号を記載します。凡例は、編集や記述の方針、使用方法などを解説するものです。
本文
- あゆみ(足跡・軌跡)
- 全体的な歴史のほか、部門史や人物史など、必要に応じてテーマを設けた記述も加えます。
- 座談会
- 役員や若手による座談会や対談などを設けることで、組織内の様々な意見や思い出などを引き出すことができます。
- 寄稿、コメント
- 評価や意見、思い出などを外部の関係者から紹介していただきます。別角度の視点を加えることで、年史の記述全体に説得力が生まれます。
資料編
- 社内資料
- 以下のような項目から、必要に応じて構成します。
- ・原始定款、現行定款、歴代社長
- ・現役員、歴代役員任期一覧、組織図
- ・資本金、売上高、当期純利益の推移
- ・従業員数の推移、経営理念、社歌 など
- 年表
- 組織の転機や著しい変化があった出来事を中心にまとめます。「社会のうごき」や「業界のうごき」などを併せて掲載すると、時代背景がわかりやすくなります。
後付け
- 参考文献、協力者一覧
- 執筆や誌面づくりに参考とした文献や、資料提供者を紹介します。
- 編集後記(あとがき)
- 一般的に、編集委員や事務局長など、編集業務の責任者が執筆します。
編集方針の解説や関係者への謝辞が述べられます。 - 奥付
- 書名、発行年月日、発行者、制作者、印刷者などを記載します。
記述の方法
年史・記念誌の誌面で、多くのページ数が割かれるのが本文です。
歴史を記述するには、以下のような方法があります。それぞれの特徴を理解して、ふさわしい方法を選択します。
「年」を軸にする編年体
起こった出来事を、年代順に記述していく方法です。
『日本書紀』や中国の『春秋』などがこの形をとっています。
長所:年表的な性格をもち、資料的な価値が高い記述方法です。
短所:それぞれの事項に関する事柄が長期間にまたがった場合、全体的な流れを把握しにくくなりがちです。
「人」を軸にする紀伝体
人物を中心に各事項を分類して記述します。徳川光圀が編纂を開始した『大日本史』、中国の『史記』などがこの形をとっています。年史では「部門史」がこの形にあたります。
長所:各部門の動きや事項・人物に関して理解がしやすくなります。
短所:全体を通して見ると、同じ時代が重複して記述されます。そのため、時代ごとの特徴がつかみにくくなりがちです。
「事」を軸にする紀事本末体
各事柄について、原因から結果までをまとめて記述します。中国の『通鑑紀事本末』などがこの形をとっています。
長所:時代背景や事柄の顛末を理解しやすくなります。
短所:時代の変化と組織の動きが連動しない場合、構成に違和感を覚えることがあります。