実際の作業について
社内体制づくりと資料取集について
制作体制の構築
年史が完成するまでには膨大な期間・作業が必要となります。しかし、専任の制作担当者を確保することは、よほどの規模の組織でなければ難しいでしょう。編集業務を外注する場合であっても、制作に関する決定権をもつ編集委員会や事務局を設置し、役割分担を行ったうえで効率的に作業を進める必要があります。
編集委員会
編集委員会は、年史全体の方向性(基本方針や編集方針など)を決定するために不可欠です。組織のトップに対して、制作に関するさまざまな依頼や承認の申請を「編集委員長」の名のもとに行うことで、制作を比較的スムーズに進めることが可能です。
人選については、組織の役員や中堅など幅広く選出し、組織全体を巻き込めるメンバーが望ましいです。
役割
- 編集事務局の設置、事務員の任命
- 制作の基本方針・編集方針・基本仕様の検討、承認
- 基本構成の検討・承認
- 原稿の検討・承認
- 初校・再校・色校など、各校正の検討・承認
編集事務局
編集事務局は、制作の実務を行う機関です。
小規模な組織の場合は、編集委員会のメンバーが事務局の役割を兼任することも考えられます。
役割
- 資料の収集・整備
- 業者との窓口業務
- 各原案の基本的チェック
- 初校・再校・色校など、各校正の基本的チェック
- 寄稿の執筆依頼や対談・座談会の開催など、制作にかかわる対外折衝
- 定期的な編集委員会の開催
編集プロダクション
編集作業を内部ですべて行うのは非常に手間がかかり、制作期間や予算もオーバーしがちです。
企画の立案や進行管理、その後の主要な工程をプロに委託することで、外注費はかかるものの作業が無駄なく進められるため、結果的に納期や予算を守りながら高品質な年史を仕上げることができます。
主な業務
- 企画、構成
- 資料整理
- テープ起こし
- 文字入力
- 取材
- 写真撮影
- 座談会、対談などのセッティング
- 原稿執筆
- 文章のリライト
- 校正(表記の統一・誤字脱字のチェックなど)
- 年表、グラフ、表の作成
- 装丁や誌面のデザイン
必要となる資料について
組織の歴史を記述し、原稿など各種資料を正確に作成するためには、十分な資料収集が欠かせません。
年史制作において一般的に活用される資料には、以下のようなものがあります。(企業の場合)
01
経営方針・総括的な資料
- 原始定款
- 現行定款
- 定款の主な変更
- 有価証券報告書
- 役員の変遷
- 資本金の変遷
- 設立目論見書、登記簿謄本
- 役員会議事録、常務会議事録
- 株主総会議事録
- 社内諸規定・規則
- 各種の経営計画書(長・中期経営計画書)
- 社長の年頭所感
- 営業(事業)報告書、中間決算報告書
- 稟議書
- 各種報告書
- 官公庁の許可書、認可書、指導書
- 業界団体加入記録
- 社内外表彰・受賞記録
- 関連会社資料
- 環境報告書
02
生産・技術に関する資料
- 工場の沿革
- 施設・設備の沿革
- 生産実績(製品別・部門別)の推移
- 生産品目の推移
- 工場月報
- 特許・実用新案等関係記録
- 技術研修記録
- 生産部門の責任者会議録
- 防災・安全管理活動記録
- ISO関連資料
03
営業・販売に関する資料
- 製品カタログ
- 展示会・広告宣伝活動記録
- 営業所会議、支店長会議などの議事録
- 売上高の推移(製品別・部門別)
04
総務関係の資料
- 本社の沿革
- 支店・営業所の沿革
- 従業員数の推移(男女別・部門別)
- 組織の変遷
- 諸規定綴り
- トップからの通達
- 福利厚生制度の変遷
- 労務規約の変遷
- 社内報
- 会社案内
- 対地域関係記録
- 既刊年史
- 広報活動記録
- マスコミ記事
- 業界紙
- 同業他社、関係組織年史
05
写真資料
- 創業者関係写真
- 各時代の本社内観・外観
- 各時代の各工場内観・外観
- 各時代の各営業所・関連企業内観・外観
- 施設・設備
- 機械
- 製品
- 各種行事・式典(起工式・竣工式・入社式・新年会等)
- 各種展示会・広告宣伝
- 各種研修会
- 各種防災・安全管理活動
- 各種福利厚生
- クラブ活動
- 各種地域活動
- その他社内スナップ